北村 道子 MICHIKO KITAMURA
FASHION
「生き方と服は水と油のようなもの。そのふたつが混じり合うことで、化学反応が起きるんです。私は“服の力”という言葉を使うのだけれど、力というのはパワーのことを意味するのではなくて、哲学を指すんですね。なぜ、目の前にあるこの一着に惹かれるのか、釘づけになるのかといえば、それは服に力があるから。哲学があるから、ということだと思うんです」
「スタイリングについて突き詰めたら、私は、服は何でもないセーター一枚でもいい、というタイプなんです。ただ、それをどうやってビジュアルに入れ込むかがキーになってくる。さまざまな役者の方からオファーをいただくけれど、私が仕事を受けるかどうかのジャッジは、その人自身に興味が湧くかどうか。俳優ひとりをスタイリングするのは、本当に大変なことですね。彼らの日常を捨てなきゃいけないから。誰かをスタイリングするというのは、つまり、その人そのものを知ることなんですよね」(北村道子)
北村 道子
1949年石川県生まれ。サハラ砂漠やアメリカ大陸、フランスなどを放浪したのち、30歳の頃から70代になった現在にいたるまで、映画・広告・雑誌・ミュージシャンなど様々な舞台で衣装製作・スタイリングを務める日本を代表するファッションスタイリスト。松田優作、松田龍平、浅野忠信、池松壮亮、菊地凛子、椎名林檎、安藤サクラ、染谷将太、大田莉菜・・・などなど、そうたる顔ぶれと厚い信頼関係を築く。スクリーンやステージ、レッドカーペットで目にする彼らのスタイルやイメージの裏には、いつも北村の仕事がある。著書「衣装術」発売中。